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電気設備の耐用年数を種類別に解説。そもそも耐用年数とは何?
2022年08月26日
住宅などの建物にはさまざまな電気設備が設置されています。
これらの電気設備にはそれぞれ耐用年数と呼ばれる年数が定められています。
電気設備の種類ごとの耐用年数について解説していきます。
耐用年数とは
耐用年数と聞いたとき、おおよそ設備が正常に使用できる期間と考える人は多いかもしれません。
ですが耐用年数は使用できる期間ではなく、資産としての価値を持つ期間です。
例えば40万円で購入したパソコンがあったとしましょう。
パソコンは資産の1つですが、徐々にその資産価値は下がっていきます。
パソコンの耐用年数は「4年」と定められており、毎年10万円ずつ資産価値が下がり、4年後には資産価値が「0」になります。
資産価値が0となったパソコンでも、使えなくなるわけではありません。
概ね5年くらいは問題なく使え、5年を過ぎると徐々に不具合が出始めることが多いでしょう。
耐用年数=寿命と考えている人は多いかもしれませんが、耐用年数と寿命は違うものとなります。
税金の計算に利用される
耐用年数は法律により、それぞれの設備ごとに定められています。
例えば先ほどパソコンは4年、戸建て住宅は22年、軽自動車は4年などです。
これらの資産は固定資産といわれ、失った価値は経費として計上できます。
経費といわれても事業を営んでいない人の場合はあまりピンとこなかいかもしれませんね。
資産価値があるものを購入した場合、購入代金の全額を一気に「費用」として計上できるわけではありません。
耐用年数に応じ徐々に「減価償却」していき、少しずつ経費に計上する仕組みになっています。
耐用年数はその資産を事業として利用する場合に頭に入れておきたい数字です。
逆にいえば資産を自分が自分のためだけに使う場合には、あまり意識しなくてもよい数字ともいえるでしょう。
電気設備の種類と耐用年数
電気設備には大きく分けると
・発電設備
・送配電設備
・構内電気設備
の3種類に分類されます。
発電設備
太陽光発電システムや風力発電システムなど電気を生み出すための設備が発電設備です。
太陽光発電も風力発電も「電気業用設備」の1つで「主として金属製のもの」に該当するためその耐用年数は17年です。
その他の発電設備では、水力発電設備は20~22年、ガスタービン発電設備は15年です。
同じ発電設備でも、自家消費を目的とした発電設備の場合は「製造用設備」に該当します。
例えば自動車工場が自家消費のために設置した発電設備なら、輸送用機械器具製造業用設備に該当するため耐用年数は9年です。
売電収入が得られる場合、その売電収入の金額から17年間は減価償却で計上した費用が差し引けます。
家庭用太陽光発電設備でも、10kW以上の発電能力を有する場合は耐用年数を意識する必要があるでしょう。
送配電設備
発電設備から構内電気設備まで電力を「送る」ための設備です。
いわゆる電線ですね。
送電や配電の設備の耐用年数は、15~22年です。
電気業用設備なので、一般の人はあまり意識する必要がない設備ともいえるでしょう。
構内電気設備
送られてきた電気を実際に利用するための設備が「構内電気設備」です。
一般家庭や工場、店舗などで実際に電気製品を使用するための設備となります。
コンセントや電灯用設備、照明設備などが該当します。
構内電気設備の耐用年数は一般的には15年です。
例外として蓄電池電源設備だけが6年となっています。
例えば停電に備えるためにバックアップ電源として用いられる直流電源装置がこの蓄電池電源設備に該当します。
最近では家庭用蓄電池も普及してきていますよね。
賃貸用住宅に蓄電池電源設備を設置した場合は、他の構内電気設備に比べ耐用年数が異なる点は注意が必要でしょう。
部位別耐用年数
電気設備の場合、本体とは別に取り外し可能な部品もあるでしょう。
例えば、換気設備の場合換気設備本体から取り外せる部品があります。
これらの部品は本体に比べると耐用年数は短くなります。
このような部品類の耐用年数は部位別耐用年数といわれます。
先ほどの換気設備の場合、設備本体は構内電気設備なので15年が耐用年数ですが羽根などの部品は6年が耐用年数です。
器具及び備品の耐用年数
構内電気設備は主に建物に据え付けられ取り外しできないものです。
例えば冷蔵庫や洗濯機といった家電、電気を使用するガス器具などは「器具及び備品」と別項目となります。
これら器具及び備品の耐用年数は6年です。
まとめ
電気設備は大きく分けると3つに分かれます。
それぞれの種類ごとに耐用年数が定められています。
耐用年数とはその設備が使えなくなる目安の年数、つまり寿命ではなく、資産価値を有する期間です。
耐用年数を超えても十分に使用可能な場合も多々あります。
あくまでも税金の計算のために使用される期間と考えておくとよいでしょう。
事業を営む場合には頭に入れておくとよいですね。